礒村の仕事礒村の仕事

礒村の仕事

現代建築と伝統技術

私たちの仕事は、京都に伝わる金工、いわゆる「錺(かざり)」です。 古くより社寺建築や祇園祭の山鉾を彩ってきたこの技術は、祈りの空間の中で磨かれてきました。 現代建築の巨大なスケールの中に、繊細な手仕事を息づかせる。一見モダンな装飾の奥底に、京都の職人集団が培ってきた美意識を宿す。伝統と現代を融合させ、新しい「錺」の世界を切り拓いていくことこそが、私たちの挑戦です。

撮影:東出清彦

  • ロイヤルホテル 光琳の間(大阪)天井

    ロイヤルホテル 光琳の間
    (大阪)天井

  • ロイヤルホテル 光琳の間(大阪)天井

    ロイヤルホテル 光琳の間
    (大阪)天井

  • 新歌舞伎座(大阪)唐破風(飾)

    新歌舞伎座(大阪)唐破風(飾)

  • 新歌舞伎座(大阪)唐破風(飾)

    新歌舞伎座(大阪)唐破風(飾)

  • 新歌舞伎座(大阪)大棟(飾)

    新歌舞伎座(大阪)大棟(飾)

  • 伊勢神宮 神楽殿(三重)破風(飾)

    伊勢神宮 神楽殿(三重)破風(飾)

  • 伊勢神宮 神楽殿(三重)破風(飾)

    伊勢神宮 神楽殿(三重)破風(飾)

  • 池上本門寺 御廟(東京)御扉八双

    池上本門寺 御廟(東京)御扉八双

  • 池上本門寺 御廟(東京)御扉八双

    池上本門寺 御廟(東京)御扉八双

京都南座

歌舞伎発祥の地・京都南座の改修にあたり、建物内外すべての錺(かざり)金具を担当いたしました。コンセプトは「昭和初期の復元と近代性の融合」。外部金具は漆と金箔で往時の輝きを取り戻し、内部は意匠を一新して現代的な荘厳さを創出しました。膨大な点数ながら全て手作業による一品製作を貫き、開場当日の朝まで調整を重ねる妥協なき仕事で、歴史的劇場の再生を支えました。

撮影:小川泰祐

  • 正面大屋根

    正面大屋根

  • 正面唐破風

    正面唐破風

  • 正面出入口扉取手

    正面出入口扉取手

  • 正面出入口扉下部

    正面出入口扉下部

  • 舞台より客席を臨む

    舞台より客席を臨む

  • 客席大天井部分

    客席大天井部分

  • 2階客席高欄部分

    2階客席高欄部分

  • ロビー階段部分

    ロビー階段部分

  • 顔見世のまねき

    顔見世のまねき

成田山聖徳太子堂

成田山大塔、祈禱殿に続き、聖徳太子堂の建立に携わりました。ここでは錺(かざり)金具に加え、蓮華座や掛灯籠といった「鋳物」の製作も担当。設計者の意図を深く理解するため、鋳型を前に何度も対話を重ね、試行錯誤しました。図面をなぞるだけでは生まれない、職人の息遣いが聞こえるような手仕事。妥協なき「モノづくり」の精神で設計の想いを形にし、堂内にあたたかみと荘厳さを添えました。

撮影:東出清彦

伊勢神宮

第61回神宮式年遷宮において、内宮・外宮をはじめ14別宮の錺(かざり)金具製作を拝命しました。膨大な点数に及ぶ金具は、すべて正倉院の古文書に由来する伝統意匠。現代建築への挑戦とは対照的に、ここでは徹底して古来の技法に徹しました。 遷御の夜、月明かりの中で鈍く輝いた黄金色は、日本建築の簡素な美と荘厳さそのもの。1300年続く祈りの歴史を、確かな技術で支えられたことは私たちの誇りです。

写真提供:神宮司庁

  • 豊受大神宮正殿 軒先部分

    豊受大神宮正殿 軒先部分

  • 豊受大神宮正殿 木階・高欄の東側面

    豊受大神宮正殿
    木階・高欄の東側面

  • 豊受大神宮正殿 木階木口

    豊受大神宮正殿 木階木口

  • 豊受大神宮正殿 金銅金物

    豊受大神宮正殿 金銅金物

  • 豊受大神宮正殿 高欄隅部分

    豊受大神宮正殿 高欄隅部分

  • 豊受大神宮正殿 高欄据玉*

    豊受大神宮正殿 高欄据玉*

  • 豊受大神宮正殿 登高欄

    豊受大神宮正殿 登高欄

  • 豊受大神宮正殿 背面全景

    豊受大神宮正殿 背面全景

湯島神社

湯島天神本殿の御造営において、総檜造りの社殿を彩る錺(かざり)金具を担当いたしました。厚手の銅板に「水銀アマルガム鍍金」を施し、「蹴り彫り」や「魚々子(ななこ)」などの高度な伝統技法を駆使しています。錺金具は、日本髪を彩る「簪(かんざし)」のような存在。私たちが最後に取り付けることで、初めて建築美は完成します。「昔以上のものを残す」という気概で挑んだ、平成の金工技術の結晶です。

撮影:東出清彦

大阪城天守閣

豊臣秀吉が築いた「黄金の城」大阪城。その輝きを蘇らせる「平成の大改修」において、私たち礒村は装飾業務の一切を拝命しました。 天守を飾る鯱鉾(しゃちほこ)や鬼瓦、虎のレリーフ。これら外装の金箔押しは城の命です。昭和の復興から65年を経て、改めて問われる「黄金の質」に対し、職人が全力を傾注して挑みました。21世紀の大阪を見守るその圧倒的な輝きを、確かな技術で支えられたことは私たちの誇りです。

撮影:東出清彦